「今日も疲れているはずなのに、ベッドに入ると目が冴えてしまう」
「明日も早いのに、考えごとが止まらなくて眠れない」
そんな経験、ありませんか?
実は、ストレスで眠れなくなるのは、決してあなたの意志が弱いからではありません。脳と体の仕組みが、"休むモード"に切り替わらなくなっているだけなのです。
この記事では、睡眠改善学の知識をもとに、ストレスによって眠れなくなる仕組みと、脳を静めて快眠につながる3つの習慣をご紹介します。
ストレスが睡眠を妨げる理由
自律神経のバランスが崩れると、眠れなくなる
私たちの体は、自律神経という仕組みによって、活動と休息のバランスを保っています。自律神経には2つの働きがあります。
- 交感神経:日中の活動を支える「アクセル」のような存在。心拍を上げ、体温を高め、脳を覚醒させて活動モードにします。
- 副交感神経:夜の休息を支える「ブレーキ」のような存在。心拍を落ち着かせ、体温を下げ、脳をリラックスモードに導きます。
本来であれば、日が沈んで夜になると、自然に交感神経の働きが弱まり、副交感神経が優位になることで、スムーズに眠りに入ることができます。
しかし、仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、スマホから流れ込む情報など、日常的に強いストレスを受け続けていると、交感神経が過剰に働いたままになってしまいます。その結果、夜になっても体と脳が「興奮状態」のまま固定されてしまうのです。
「情動性覚醒」が入眠を妨げる
睡眠改善学では、ストレスや不安によって脳が興奮状態に陥り、眠りに入れなくなる現象を「情動性覚醒」と呼んでいます。
情動性覚醒が起こると、以下のような状態になります。
- 心拍数が高いまま下がらない
- 体温が下がりにくい
- 頭の中で考えごとがぐるぐる回り続ける
- 体は疲れているのに、脳だけが冴えている
この状態では、眠りに必要なホルモン(メラトニン)の分泌リズムも乱れてしまい、たとえベッドに入っても、体が「眠る準備」を整えられないのです。
つまり、ストレスで眠れない夜は、あなたが「眠ろうとしていない」わけではありません。神経のブレーキが効かなくなっている状態なのです。
眠るために必要なのは「副交感神経」へのスイッチ
脳を静めるカギは、体に「もう安全だよ」と伝えること
眠りに入るためには、交感神経(緊張・興奮)から副交感神経(休息・回復)へのスムーズな切り替えが必要です。
では、どうすれば副交感神経を優位にできるのでしょうか?
睡眠改善学では、以下の3つの要素が重要だと解説されています。
- 呼吸をゆっくりにして、心拍を落ち着かせる
- 体温を一度上げてから、ゆるやかに下げる
- 思考を止め、五感を"今この瞬間"に向ける
この3つは、どれも体に「もう戦わなくていい」「ここは安全な場所だ」というサインを送る行動です。
交感神経が優位なときの脳は、常に「何かに備えている」状態。だからこそ、体を通じて「今は休んでいい時間だよ」と伝えてあげることが、脳を静める第一歩になります。
自律神経に直接アプローチできる唯一の方法
実は、自律神経は基本的に「無意識」に働いているため、意志の力だけでコントロールすることはできません。心拍を意識的に遅くしたり、体温を自在に調整することは難しいですよね。
しかし、呼吸だけは例外です。
呼吸は、唯一、意識的にコントロールできる自律神経の入り口。ゆっくりと深い呼吸を繰り返すことで、交感神経の働きを和らげ、副交感神経を優位にすることができるのです。
この仕組みを活用することで、ストレスで眠れない夜でも、脳を少しずつ"静まるモード"に導いていくことができます。
今日からできる、脳を休ませる3つの習慣
ここからは、具体的に日常生活で実践できる「脳を静める習慣」を3つご紹介します。どれも特別な道具や準備は不要。今夜から取り入れられる方法です。
習慣① 深呼吸で「交感神経」をリセットする
眠れない夜は、まず呼吸をゆっくり整えることから始めましょう。
ベッドに入ったとき、呼吸が浅く、速くなっていることに気づいたことはありませんか?これは交感神経が優位なサインです。
そんなときにおすすめなのが、「4-7-8呼吸法」です。
4-7-8呼吸法のやり方
- 4秒かけて、ゆっくりと鼻から息を吸う
- 7秒間、そのまま息を止める
- 8秒かけて、ゆっくりと口から息を吐き出す
この呼吸を3〜4回繰り返すだけで、心拍が落ち着き、交感神経の働きがやわらいでいくのを感じられるはずです。
吐く息に意識を向けることで、自然と副交感神経が優位になり、体が「休むモード」に入りやすくなります。
ポイント:吐く息を長くする
呼吸法のコツは、「吐く息を吸う息よりも長くする」こと。吐く息が長いほど、副交感神経が働きやすくなります。息を吐くときに、体の力が抜けていく感覚に意識を向けてみてください。
習慣② ぬるめのお風呂で「体温」と「神経」を整える
ストレスで眠れないときこそ、ぬるめ(約40℃)のお風呂に入ることをおすすめします。
人間の体は、体温が下がるタイミングで眠気を感じる仕組みになっています。お風呂で一度体を温めてから、ゆるやかに体温が下がっていくことで、自然な入眠のリズムが整うのです。
お風呂に入るタイミングと温度
- 入浴時間:就寝の1〜2時間前が理想
- お湯の温度:約40℃(ぬるめに感じる程度)
- 入浴時間:15〜20分程度
熱すぎるお湯(42℃以上)は、逆に交感神経を刺激してしまい、脳が覚醒してしまいます。「リラックスできる温度」を意識することが大切です。
アロマの力を借りるのも効果的
お風呂にアロマオイルを1〜2滴入れるのもおすすめです。特にラベンダーやカモミールなどのリラックス系の香りは、副交感神経を優位にする効果が期待できます。
香りが鼻から脳に届くことで、「安心できる空間」だと体が認識し、自律神経が整いやすくなります。
習慣③ スマホを"閉じて"五感を開く
眠れない夜ほど、ついスマホを手に取ってしまいがちです。しかし、スマホの画面から発せられるブルーライトと、次々と流れ込む情報は、脳を覚醒させてしまいます。
睡眠改善学では、就寝前1時間は「情報遮断タイム」を設けることが推奨されています。
情報遮断タイムにすること
- スマホやパソコンの画面を見ない
- 部屋の照明を暗めに落とす(間接照明がおすすめ)
- テレビやラジオなど、情報が入ってくるものを消す
- 静かな音楽や自然音を小さく流す(なくても良い)
五感を"内側に向ける"ことが、脳を休ませる第一歩です。
暗く静かな空間で、自分の呼吸の音や体の感覚に意識を向けてみてください。それだけで、脳が少しずつ「休んでいい時間だ」と感じ始めます。
「考えごとを書き出す」のも有効
どうしても考えごとが止まらないときは、紙に書き出してみるのも一つの方法です。頭の中でぐるぐる回っている思考を外に出すことで、脳が「もう覚えておかなくていい」と認識し、自然と静まりやすくなります。
ストレスと眠りの悪循環を断ち切るために
「眠れない自分」を責めない
ストレスが続くと、次のような悪循環に陥りやすくなります。
ストレス → 眠れない → 疲れが取れない → ストレスが増える → さらに眠れない
このサイクルを断ち切るために、まず大切なのは「眠れない夜を責めない」ことです。
「なんで眠れないんだろう」「明日も辛くなる」と自分を責めると、それ自体がストレスになり、さらに交感神経が働いてしまいます。
眠れないのは、脳が疲れすぎているサイン。無理に寝ようとするのではなく、"眠る準備"を丁寧にする時間に切り替えてみましょう。
「眠れない」から「整える」へ
眠れない夜は、こう考えてみてください。
「今夜は眠れないかもしれない。でも、脳を少しでも休ませる準備はできる」
照明を落として呼吸を整える。アロマを焚いて、音を静かにする。それだけで、脳が少しずつ"休んでいい"と感じ始めます。
たとえその日すぐに眠れなくても、脳と体を「休むモード」に近づけることができれば、それは大きな一歩です。
毎日少しずつ、自律神経を整える
自律神経のバランスは、一晩で劇的に変わるものではありません。日々の小さな習慣の積み重ねが、少しずつ体のリズムを整えていきます。
以下のような生活リズムを意識してみてください。
時間帯 | おすすめの習慣 |
|---|---|
朝 | 起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる(体内時計をリセット) |
日中 | 軽い運動や散歩で体を動かす(交感神経を適度に働かせる) |
夕方 | カフェインを控える(興奮作用が残らないように) |
夜 | 照明を落とし、ゆっくりとした時間を過ごす(副交感神経を優位に) |
これらの習慣を無理なく続けることで、自律神経が整い、自然と「眠れる体」に近づいていきます。
まとめ:眠れない夜を、整える時間に変える
ストレスで眠れない夜は、脳が戦い続けている状態です。そんなときに必要なのは、「無理に寝よう」とすることではなく、脳と体に「もう休んでいい」というサインを送ってあげることです。
今回ご紹介した3つの習慣は、どれも特別な準備や道具は不要。今夜から取り入れられるものばかりです。
- 深呼吸で交感神経をリセットする
- ぬるめのお風呂で体温と神経を整える
- スマホを閉じて五感を開く
この3つを意識するだけで、脳が少しずつ"静まるモード"に入り、眠る準備が整っていきます。
もし、日々のストレスで体と心が張りつめていると感じたら、プロの手を借りてみるのも一つの方法です。
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眠れない夜を、少しずつ「整える時間」に変えていきましょう。








