「睡眠は90分周期だから、4時間半で起きるとすっきりする」。そんな説明を見て、起床時刻から90分ずつ逆算したことはありませんか。あと30分眠れるのに、周期が崩れるのを避けて、早く起きようとする方もいるかもしれません。
睡眠周期は、毎回90分ぴったりではありません。90分の倍数に合わせるために、必要な睡眠時間を削ることは勧められません。 3時間や4時間半で一度すっきり目覚めても、その日の睡眠が十分だったとは限らないからです。
この記事では、レム睡眠・ノンレム睡眠の基本から、90分という目安の読み方、起きる時間の決め方までを整理します。時計の計算に合わせるより、自分が休める予定を作るために、睡眠の仕組みを使っていきましょう。
この記事の目次
睡眠周期(睡眠サイクル)とは?眠りは一晩中同じ深さではない
睡眠周期とは、ノンレム睡眠とレム睡眠が移り変わる、一連の流れのことです。一晩の中でこの流れが繰り返され、深い眠りが多い時間と、レム睡眠が増える時間が現れます。
米国の国立心肺血液研究所(NHLBI)は、睡眠の周期について80〜100分ほど、一晩に4〜6回ほどという目安を示しています。これは、すべての周期を同じ長さで刻めるという意味ではありません。 〔参考1〕
人による違いに加え、同じ人でも一晩の中で睡眠の構成は変化します。「90分」は、眠りを大まかに理解するための目安としては役立ちますが、正確な起床時刻を決めるタイマーにはならないのです。
ノンレム睡眠は、浅い段階から深い段階へ分かれる
現在、ノンレム睡眠は主にN1・N2・N3の三つの段階に分けて説明されます。N1は眠りに入っていく浅い段階、N2はその次の段階、N3は深い睡眠です。
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| 睡眠の段階 | 基本的な特徴 | 誤解しやすい点 |
|---|---|---|
| N1 | 起きている状態から睡眠へ移る浅い段階 | ノンレム睡眠がすべて深いわけではない |
| N2 | より安定した睡眠の段階 | 浅いという理由で不要にはならない |
| N3 | 深い睡眠。一般に夜の前半に多い | これだけ取れば一晩分を補えるわけではない |
| レム睡眠 | 脳活動などがノンレム睡眠と異なる睡眠状態 | 脳が完全に起きている時間、という意味ではない |
古い説明では、ノンレム睡眠を四段階に分けていることがあります。資料の年代で表記が異なるため、段階の数だけを見て混乱しないようにしましょう。
レム睡眠も、大切な睡眠の一部
レム睡眠では、眼球が素早く動く特徴が見られます。夢と結びつけて紹介されることも多い睡眠ですが、「体だけが寝ていて、脳は起きている」と単純に表すと、通常の覚醒と混同してしまいます。
レム睡眠も睡眠の一部であり、不要な時間ではありません。ノンレム睡眠とどちらが優れているかを競うのではなく、両方を含む一晩の眠りを守ることが大切です。
90分の倍数で起きても、すっきりするとは限らない理由
理由1:寝床に入った時刻と、眠り始めた時刻が違う
23時に寝床へ入っても、23時ちょうどに眠るとは限りません。すぐに寝つく日もあれば、考え事があって時間がかかる日もあります。
もし90分周期が毎回同じだったとしても、眠り始めた時刻が分からなければ、時計だけで次の段階を予測することはできません。夜中に目が覚める時間があれば、さらに計算は複雑になります。
この誤差をなくそうとして時計を何度も確認すると、かえって気持ちが忙しくなることがあります。眠り始めを秒単位で測る必要はありません。
理由2:周期の長さも、中身も変わる
夜の前半は深いノンレム睡眠が多く、後半はレム睡眠の割合が増える傾向があります。周期を何度繰り返しても、中身がまったく同じというわけではありません。
「最初の90分さえ深ければ、その後は何時間でもよい」という説明も、睡眠全体を短く捉えすぎています。最初の部分を大切にすることと、後半を削ってよいことは同じではないのです。
理由3:目覚めの感覚には、睡眠不足や時間帯も関係する
起きた直後のぼんやり感は、睡眠慣性と呼ばれます。どの段階から起きたかだけでなく、睡眠不足や起きる時間帯なども関係します。
レム睡眠のタイミングを狙えば必ず快適、ノンレム睡眠で起きると必ずつらい、という一対一の関係ではありません。前夜の眠りが足りなければ、朝だけ一時的にすっきりしても、午後に眠気が強くなることがあります。
3時間・4時間半・6時間なら、どれがよい?

倍数がそろうことより、必要な時間を確保する
3時間、4時間半、6時間はいずれも90分の倍数です。しかし、その数学的な共通点は、体に必要な睡眠を取れていることの証明にはなりません。
厚生労働省は、成人では個人差を踏まえ、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。6時間も全員に十分な上限ではなく、もっと長く眠る必要がある人もいます。 〔参考2〕
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| よくある考え | 見直し方 |
|---|---|
| 5時間眠るより、4時間半にそろえたほうがよい | 周期のために30分削らず、睡眠を確保する方向で考える |
| 最初の90分が深ければ、3時間でも足りる | 夜の後半の睡眠も大切にする |
| 6時間は4周期だから、誰でも十分 | 日中の眠気や休養感を含めて必要量を見る |
| 7時間半で目覚めが悪かったから、6時間へ減らす | 時刻、寝つき、睡眠不足、生活習慣も確認する |
「短くても起きられた日」があることと、その長さを毎日続けて無理なく過ごせることは別です。睡眠時間を変えるときは、起床直後だけでなく、日中の集中や眠気まで見ていきましょう。
たまたま早く目覚めた朝は、体感と予定を確認する
自然に目覚め、十分休めた感覚があり、普段の必要な睡眠も取れているなら、そのまま起きることはあります。一方、睡眠が極端に短いのに「周期が終わったから」と起きる必要はありません。
眠気が残っている、前日までの睡眠が足りないなどの場合は、確保できる睡眠機会を大切にしましょう。早く目覚めて眠り直せない状態が続き、日中につらさがある場合は、周期の問題と決めずに相談してください。
起きる時間から考える、無理のない夜の予定
まず、起床時刻と休める枠を決める
例えば7時に起きる予定で、自分にはおよそ7〜8時間の睡眠が必要そうだと感じているなら、その長さを確保できるよう、夜の用事を終える時刻を考えます。寝つくまでの時間もあるため、就床枠と実際の睡眠は分けて見ましょう。
これは7〜8時間を全員へ指定する例ではありません。自分の普段の眠り、朝の休養感、日中の状態を観察しながら、必要な長さを探すための考え方です。
眠気がないのに極端に早く寝床へ入り、長く眠ろうと頑張るのも負担になります。先に照明や用事を落ち着かせ、眠気が来たときに休める準備を作っておきましょう。
次に、予定を邪魔する一つの行動を変える
睡眠周期を細かく計算するより、毎晩就寝が遅れる理由を一つ見つけるほうが、変更しやすい場合があります。
例えば、寝る前に動画を次々と見てしまうなら、自動再生を切っておく。翌日の仕事を考え続けるなら、寝床に入る前に要点をメモする。朝の準備が心配なら、持ち物をそろえておく。こうした工夫は、眠るための時間を守ることにつながります。
朝は、起きた直後に余裕を持つ
アラームが鳴ってすぐ難しい判断や運転を始めるより、起き上がり、明るさに慣れ、身支度をする時間を確保しましょう。強い眠気が残る場合は、予定より安全を優先します。
朝の光や一定の起床時刻は、生活リズムを整えるうえでも大切です。ただし、極端な寝不足のまま眠気を我慢して起床時刻だけを守ることが、いつでも最優先になるわけではありません。安全に休息を取れる方法を考えてください。
睡眠アプリで、浅い眠りのときに起こせる?

機器の推定と、医療の測定は分けて考える
機器やアプリで、睡眠のグラフを見ている方もいるでしょう。その表示だけを、医療機関で脳波などを調べる検査と同じものとして扱わないでください。
睡眠グラフは、毎日の傾向を振り返るきっかけにはなります。ただし、表示されたレム睡眠や深い睡眠の分数だけで、体調を診断したり、必要な睡眠を減らしたりしないことが大切です。
起床幅を設けるなら、睡眠時間を削りすぎない
起こす時刻に幅を設ける機能を使う場合は、早い時刻に起こされる分だけ、睡眠が短くなる可能性があります。機能名や評価の点数より、十分に眠れる予定を確保できているかを確認しましょう。
使ってから朝が楽になったか、昼に眠くならないかを見て、合わなければ普通のアラームへ戻して構いません。機器の点数を上げることより、生活の中で休めているかが判断の中心です。
「目覚めが悪い」を、三つの時間帯に分けてみる
睡眠周期を気にするきっかけが朝のつらさなら、そのつらさがいつまで続くのかを整理してみましょう。起床直後だけなのか、午前中ずっとなのか、午後にも強い眠気があるのかで、確認したいことが変わります。
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| つらさが出る場面 | 記録すること | 次に見ること |
|---|---|---|
| 起きた直後にぼんやりする | どれくらいで普段の感覚へ戻るか | 起床後の余裕、前夜の睡眠不足 |
| 午前中も頭が働きにくい | 就床・起床、途中で目覚めた時間 | 眠る時間を十分取れているか |
| 日中、意図せず眠ってしまう | いつ、どんな場面で眠ったか | 睡眠不足や睡眠の問題についての相談 |
例えば、7時間半にそろえても午前中の眠気が続くなら、周期の倍数をさらに探すより、寝つくまでの時間や夜中の目覚めを確認します。7時間半の就床枠でも、実際にはそれほど眠れていない可能性があるからです。
反対に、ある一日だけ起床直後にぼんやりしたからと、いつもの睡眠が間違っていたとは限りません。予定が遅くなった日、体調が違う日なども含め、数日分を見て判断します。
アラームを止めたあとの二度寝も、周期の失敗と考えず、普段の睡眠量や朝の予定を振り返る手がかりにしてください。二度寝を避けるために睡眠をさらに短くするのではなく、必要な時間を確保できる夜の段取りへ目を向けましょう。
大きないびきや呼吸が止まるという指摘があり、日中の眠気が強い場合は、睡眠周期だけの問題と考えないことも大切です。朝の工夫で対応しきれないつらさは、記録とともに医療機関へ相談できます。 〔参考4〕
睡眠周期についてよくある質問
90分の昼寝なら、一周期だから起きやすいですか?
90分で必ず一周期が終わるわけではありません。寝つく時間や睡眠の深さにも差があります。通常の日中の眠気への対策としては、短い昼寝から試し、起きたあとの余裕も確保します。長い昼寝は、夜の寝つきへの影響にも目を向けてください。
最初の90分を深くするには、何時に寝ればよいですか?
全員に共通する一つの時刻はありません。一定の起床時刻、日中の活動、夜の照明や飲み物などを整え、自分が眠りやすい生活を作ることが基本です。「この時刻を逃すと失敗」と考えて焦る必要はありません。
夢を覚えていたら、眠りが浅かったのでしょうか?
夢を覚えていることだけで、一晩の睡眠の質は判断できません。夢の記憶やアプリの表示だけに注目せず、休養感や日中の眠気を合わせて見ます。夢がつらく、眠ること自体が負担になっている場合は相談してください。
毎朝同じ時刻に目が覚めるのは、90分周期だからですか?
体内時計や日々の生活リズムなども関わるため、周期だけでは説明できません。自然に起きられ、日中も無理なく過ごせるなら、そのリズムを大切にしましょう。早く目覚めてつらい場合は、睡眠時間やほかの原因も確認します。
周期の計算から離れて、心地よく一日を閉じる
90分という目安は、眠りの流れを理解するためのものです。3時間や4時間半にそろえることより、自分に必要な睡眠を取れる予定と、休みやすい環境を大切にしましょう。
夜まで頭が忙しい日は、ReSleepのヘッドスパで、時間を計算する手を休めてみませんか。頭まわりの心地よいケアに身を委ね、予定や画面から離れるひとときを。毎日の睡眠を大切にする生活に、落ち着いて休む体験を加えてみてください。










朝の計算より、夜の「終わり方」を一つ決める
何周期眠れるかを数えるより、「この用事が終わったら、今日は休む」と区切りを決めてみましょう。明日の持ち物をそろえる、照明を落とす、スマホを充電場所へ置く。小さな終わり方で構いません。
予定の時刻から少しずれた夜も、睡眠が全部台無しになったと考えなくて大丈夫です。時計へ合わせ続けるより、残っている睡眠機会を大切にする。その積み重ねを、毎日の休息につなげてください。