「よく眠れていない気がするけれど、いつから、どのくらいか説明できない」。睡眠の悩みを誰かに相談するとき、そんな難しさを感じることがあります。 〔参考3〕
睡眠日誌は、眠った時間や日中の眠気、生活の出来事を簡単に記録し、自分の睡眠の傾向を知るためのものです。夜中に時計を見続けず、翌朝に思い出せる範囲で書けば構いません。 まずは平日と休日を含む一〜二週間ほどを目安に始められます。
この記事では、基本項目、実際の記入例、そのまま使える14日分の表、記録したあとの見直し方を紹介します。眠りを採点するためではなく、生活を楽にするヒントを見つける道具として使ってみましょう。
この記事の目次
睡眠日誌とは?アプリの睡眠グラフとの違い
自分の感覚と生活の背景を残せる
睡眠日誌には、寝床に入った時刻、起きた時刻、寝つくまでの時間、昼寝、日中の眠気などを書きます。形式は一つではなく、時刻を塗る表や、項目ごとに数字を書く表などがあります。
記録を並べると、「寝つきより、寝床に入る時刻が遅かった」「平日と休日で起床時刻が大きく違った」と気づくことがあります。眠れなかった夜の印象だけでなく、眠れた日も同じように残せることが特徴です。
機器の推定と、本人の記録は役割が違う
腕時計型の機器やアプリで、睡眠時間のグラフを見ている方もいるでしょう。一方、睡眠日誌は「寝つきがつらかった」「午後の会議で眠かった」など、本人の体験も残せます。
両者の数字が違っても、片方へ無理に合わせる必要はありません。機器の記録は参考として別に残し、日誌には自分の感覚を書きましょう。どちらも、表示や記録だけで病気を確定するためのものではありません。
医療機関から指定された用紙があれば、それを使う
相談や治療のために日誌をつける場合は、医療機関の用紙や記入方法を優先してください。目的によって、必要な項目や記録期間が変わることがあります。
この記事の表は、日常の振り返りを始めるための簡易版です。正式な検査や、専門家が行う評価を置き換えるものではありません。
睡眠日誌で分かることと、分からないこと
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| 分かりやすくなること | 日誌だけでは決められないこと |
|---|---|
| 平日と休日の時刻の違い | 自分に必要な睡眠時間の厳密な確定 |
| 就床の遅れや昼寝の傾向 | 不眠症や過眠症などの診断 |
| 寝床で起きている時間の概算 | レム睡眠・深い睡眠の正確な分数 |
| 飲酒や仕事と、眠りの変化の重なり | ある行動が原因だという証明 |
| 日中に困っている場面 | 睡眠時無呼吸などの有無の確定 |
例えば、コーヒーを飲んだ日に眠れなかったとしても、その日は仕事の緊張や就床の遅れもあったかもしれません。一日の一致だけで原因を確定せず、変えられそうな条件を探す材料にします。
2012年には、研究者や利用者の意見を踏まえ、睡眠日誌の項目を標準化する「Consensus Sleep Diary」が提案されています。睡眠を前向きに記録する共通の道具を整える取り組みであり、日誌の点数だけで自己診断するためのものではありません。 〔参考2〕
まず書きたい、基本の七項目

1.日付は「起きた日」にそろえる
この記事の表では、朝起きた日の日付を使います。例えば9月25日の夜から26日の朝までの睡眠は、「9月26日」の行に書きます。
日付の付け方が途中で変わると、前夜の出来事との対応が分かりにくくなります。どの方法を使う場合も、最初に決めてそろえると見直しやすくなります。
2.寝床に入った時刻と、眠ろうとした時刻
寝床で読書やスマホをしていた場合、寝床に入った時刻と、眠ろうとした時刻は違います。分けて書くと、「寝つくのに長くかかった」と感じた時間の中身が見えやすくなります。
最初から細かく分けるのが負担なら、備考に「就床後、動画を30分ほど見た」など、一言残す方法でも構いません。
3.寝つくまでの時間の概算
眠ろうとしてから、どのくらいで眠ったと思うかを書きます。「15分ほど」「30分以上かかった気がする」など、分かる範囲で十分です。
眠り始めた瞬間を正確に測ることは難しいため、時計を確認して合わせようとしないでください。分からなければ「不明」と書けます。
4.夜中に起きていた時間の概算
何度か目が覚めた場合は、起きていた時間の合計をおおよそで残します。目が覚めた回数だけでなく、眠り直せたかも書くと役立ちます。
「2回ほど目覚めたが、すぐ眠った」「一度起きてしばらく読書」などの言葉でも構いません。夜中に記録するため、スマホを開く必要はありません。
5.最後に目が覚めた時刻と、寝床を出た時刻
6時50分に目覚め、7時に寝床を出た場合は、二つの時刻が違います。その10分間は、眠っていた時間には含めません。
反対に、目覚めたあと再び眠った場合は、最後に目覚めた時刻を使います。二度寝の様子が分かるなら、備考へ書き足しておくとよいでしょう。
6.昼寝や、予定していない居眠り
昼休みの仮眠に加え、通勤中や夕食後の寝落ちも、気づいた範囲で記録します。夜の睡眠だけを見ていると、一日全体の眠り方を見落とすことがあります。
何時ごろ、何分くらい眠ったかを簡単に書きます。目を閉じて休んだだけの時間は、眠った時間と分けてください。
7.休養感と、日中の眠気・出来事
朝の感覚は「休めた・普通・休めなかった」など、簡単な言葉で残せます。日中の眠気は、その日の夕方などに追記して構いません。
飲酒、カフェイン、運動、遅い夕食、仕事の緊張なども、気になるものを一言書きます。すべてを毎日詳しく記録するより、自分の悩みに関係しそうな項目から始めましょう。
記入例:寝床に8時間いても、睡眠は8時間とは限らない
次は、計算の仕方を説明するための架空の例です。眠りの良し悪しを判定する数値ではありません。
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 起床日 | 9月26日 |
| 就床・眠ろうとした時刻 | 23:00・23:00 |
| 寝つくまで | 約20分 |
| 夜中に起きていた時間の合計 | 約30分 |
| 最後に目覚めた時刻 | 6:50 |
| 寝床を出た時刻 | 7:00 |
| 昼寝 | 13:20ごろから約15分 |
| 朝の休養感 | 普通 |
| 日中・備考 | 午後は少し眠い。前日は夕食が遅かった |
23時から7時まで寝床にいたので、就床時間は8時間です。そこから寝つくまでの20分、夜中の30分、最後に目覚めてからの10分を引くと、夜の睡眠は概算で7時間になります。
一日に眠った量を見るなら、さらに昼寝の15分を加え、約7時間15分です。ただし、日誌の数字はあくまで本人の概算です。分単位の違いを、よい・悪いの判定に使う必要はありません。
途中の覚醒を二重に引かないように注意しましょう。最後に目覚めたあとの10分を、夜中に起きていた時間へすでに含めた場合は、もう一度引きません。
コピーして使える、14日分の睡眠日誌
表が横に広い場合は、二つの表を同じ日付で使ってください。紙へ書き写しても、メモアプリへコピーしても構いません。数字は概算で、書けない欄は空欄のままで大丈夫です。
A.朝に書く、夜の睡眠
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| 起床日 | 就床/眠ろうとした時刻 | 寝つくまで | 夜中の覚醒合計 | 最後の目覚め/離床 |
|---|---|---|---|---|
| 1日目: | ||||
| 2日目: | ||||
| 3日目: | ||||
| 4日目: | ||||
| 5日目: | ||||
| 6日目: | ||||
| 7日目: | ||||
| 8日目: | ||||
| 9日目: | ||||
| 10日目: | ||||
| 11日目: | ||||
| 12日目: | ||||
| 13日目: | ||||
| 14日目: |
B.同じ日付で書く、休養感と日中の様子
表の内容を、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
| 起床日 | 朝の休養感 | 当日の昼寝・居眠り | 当日の日中の眠気/前夜の出来事 |
|---|---|---|---|
| 1日目: | |||
| 2日目: | |||
| 3日目: | |||
| 4日目: | |||
| 5日目: | |||
| 6日目: | |||
| 7日目: | |||
| 8日目: | |||
| 9日目: | |||
| 10日目: | |||
| 11日目: | |||
| 12日目: | |||
| 13日目: | |||
| 14日目: |
Bの「前夜の出来事」は、Aに記録した睡眠の前の飲酒や食事などを書きます。「当日の日中」は、朝起きてからの眠気や昼寝です。迷う場合は、「前夜22時に夕食」「当日14時に居眠り」のように時刻も添えると、対応を間違えにくくなります。
書いたあとに見る、四つのポイント

1.平日と休日の、時刻の違い
まず、就床と離床の時刻を並べます。平日は夜更かしが続き、休日は大きく遅くまで眠るなどの傾向があれば、平日の睡眠機会を見直す材料になります。
平均の睡眠時間だけを見ると、日ごとの大きな違いが隠れることがあります。最初は細かい平均を出すより、時刻が大きく動いている日を見つけてみましょう。
2.眠る時間が少ないのか、寝床で起きているのか
就床が遅く、朝は早く起きる必要があるなら、まず睡眠の枠を確保する工夫が考えられます。一方、寝床に長くいても眠れずつらいなら、単に早く寝床へ入るだけでは対応しにくい場合があります。
日誌を使って、この二つを分けてみましょう。眠れないつらさが続く場合は、自己流で就床時間を極端に短くするのではなく、医療機関へ相談してください。
3.昼寝や飲み物と、夜の眠りの重なり
夕方に長く眠った日、遅い時間にカフェインを取った日などで、夜の眠り方が違うかを見ます。ただし、一度の一致だけで原因と決めないことが大切です。
変えるなら一つに絞ります。例えば、夕方のうたた寝を早い時間の短い休憩へ変えるなど、生活上可能なことから試し、次の数日も同じ項目を残します。
4.眠れた長さと、日中の過ごしやすさ
長く眠れた日に日中の眠気が軽くなるのか、十分眠る機会があっても居眠りが続くのかを見ます。睡眠時間が長い・短いという数字だけより、相談時に役立つ情報になります。
会議、通勤、家事など、困った場面を具体的に残してください。強い眠気がある日は、運転や危険作業を避け、記録より安全を優先しましょう。
睡眠日誌を、負担にしない続け方
夜中ではなく、翌朝に書く
国立精神・神経医療研究センターの案内でも、睡眠日誌は朝に思い出して、おおよそで書く方法が示されています。正確に記録するために睡眠を中断しないことが大切です。 〔参考1〕
朝食の前など、書く場面を決め、紙やメモを取り出しやすい場所へ置いておきましょう。日中の眠気は、その日の夕方に短く追記できます。
書き忘れた日は、空欄でもよい
何日も前の夜を無理に思い出して、細かな数字を埋める必要はありません。「記憶が曖昧」と残し、次の日から再開します。
全部の欄が埋まっていなくても、就床や起床の傾向が見えることがあります。記録が続かないなら、まず時刻と日中の眠気だけに減らす方法もあります。
数字が気になりすぎるなら、項目を減らす
眠った分数や点数を何度も確認し、不安が強くなる場合は、記録の細かさを下げましょう。医療機関の指示で記録している場合は、負担になっていることも伝えます。
睡眠効率などの計算を見かけても、数値だけをもとに寝床の時間を大幅に短縮する自己流の治療は行わないでください。日誌は状況を共有する道具であり、睡眠を削る指示書ではありません。
睡眠日誌を持って相談するときは
相談では、表の完成度より「一番困っていること」を最初に伝えると整理しやすくなります。「夜中に目が覚める」「朝起きられない」「日中に居眠りする」など、一つにまとめてみましょう。
そのうえで、いつから始まったか、勤務や体調の変化、薬や飲酒、いびきなどの情報を添えます。二週間分がなくても、現在のつらさや支障があるなら相談できます。
家族から睡眠中の様子を聞いている場合は、本人の記録とは分けて「家族から呼吸が止まると言われた」などと残すと、情報の出どころが分かります。自分が眠っている間のことを、推測で埋める必要はありません。
日誌を共有するときは、必要な情報を選ぶ
睡眠日誌には、勤務、体調、服薬などの個人的な情報が含まれます。医療機関への相談、家族との予定調整など、共有する目的に合わせて見せる範囲を選びましょう。
家族と休む時間を相談するなら、就床・起床と、交代を頼みたい時間だけでも話し合えます。詳しい体調や薬の情報まで、毎回全員へ見せる必要はありません。
自分用の記録には、遠慮せず実際の状態を書いて構いません。きれいに見せるために数字を整えるより、相談に必要なところを後から選ぶほうが、日誌を役立てやすくなります。
睡眠日誌についてよくある質問
アプリを使わず、紙だけでもよいですか?
紙でも構いません。すぐ書ける、見返しやすい、続ける負担が少ない方法を選びます。アプリの点数を付け足さなくても、時刻と生活の記録は相談や振り返りに使えます。
夜勤や分割睡眠は、どう書けばよいですか?
一日に複数回眠る場合は、それぞれの就床・目覚め・離床を別の行や備考へ書きます。24時間のどこで区切るかをそろえると見やすくなります。医療機関へ相談する場合は、勤務表も一緒に伝えると役立ちます。
正確な睡眠時間が分かりません。それでも意味がありますか?
概算でも、時刻や日中の眠気の傾向を見ることはできます。眠り始めを正確に測るために、時計を見続ける必要はありません。分からないことは不明と残し、本人の感覚として書きましょう。
毎日ずっと続ける必要がありますか?
まずは一〜二週間など、目的に合う期間で始められます。傾向が分かったら、必要な項目だけ残す方法もあります。治療で使う場合は、担当の医療者と記録期間を相談してください。
記録で気づいたことを、自分のための休息へ
睡眠日誌は、翌朝に概算で書き、平日と休日の違いや日中の状態を見ることから始められます。正確さを追い求めるより、生活の中で変えられることを見つけるために使ってみてください。
記録を見て「いつも用事の合間にしか休んでいない」と気づいた方は、ReSleepのヘッドスパで、自分のための休息枠を作ってみませんか。頭まわりの心地よいケアを受けながら、画面や予定から離れて過ごす時間を。毎日の睡眠を大切にする習慣へ、落ち着いて休むひとときを加えていきましょう。










日誌には、「困ったこと」と「休めた場面」を一つずつ
睡眠の記録は、眠れなかったところだけを探す表にしなくて大丈夫です。「午後に眠かった」と一緒に、「夜は仕事の連絡を早く終えられた」など、休息につながった場面も残してみましょう。
振り返るときは、直すことを一度に増やさず、続けたいことを一つ選ぶ。日誌を、自分の眠りを責める材料ではなく、休みやすい生活を作るメモとして使っていきましょう。